ささブロ

遊戯王が好きな一般人です。

1年かけてカードゲームを作った話~作る編~

 お久しぶりでした、sasaemachanです。

 

今回は↓の記事

sasaemachan.hatenablog.com

 

 

この調査的記事から続く最終的かつ不可逆的終結な記事を2部構成で書いていこうと思います。

なぜTwitterを控えていたのか、家に籠り続けたのか。全てはこれのためだったんだよ!

 

※この記事では「遊ぶ」というより「作る」という方面に特化しており、多少専門的な内容となっております。「そんなことよりデュエルしろよ!!」という方は、1年かけてカードゲームを作った話~遊ぶ編~をご覧ください。

 

sasaemachan.hatenablog.com

 

 

きっかけ

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小学生の頃の落書き(オリジナルTCGらしい)

 

みなさんは幼い頃、どういうゲームをやっていましたか?

特にこの記事を読んでいただいている人たちはカードゲームを少しはやっていたんじゃないかなと思います。

 

僕も例にもれず、遊戯王とかDMとかやっていました。

しかしながら、田舎の片隅で育ったものですのでプレイ人口や資金面でも厳しいものがあり、何もできない暇を潰す為に落書きなんかをよくやっていました。

その最中に上のようなオリジナルカードをデザインして遊ぶようなことがありました。

おそらくこれが「何か作ろう」として制作をする原初的体験だったんだなぁと思えます。

 

そして時は経ち、大学生になり、デザインを研究する立場になった自分を振り返ってみて

「何がしたくてこんな場所に来たのだろう?」

と思った時、この頃のことを思い出しました。

 

そうだ、カードゲーム作ろう。

 

こうして、卒業課題はカードゲームを作るという目標を立て2017年をこれに費やすことになります。

 

ゲームの根幹を決める

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まずはどんなカードゲームにするのか、というところから決めていくことになったのですが、デザインのお勉強をしているといってもゲームデザイン」を学んでいるわけでは無かったので、0からルールを作り上げ仕上げるというのは難しいと考えていました。

 

そこで辿り着いたのが「トランプ」「UNO」といった既存のカードで行われるゲームのルールを整理し、リデザインを施すという手法でした。

 

その中で、自分の中で最も疑問符が付き、より面白くできると考えていたトランプの「大富豪」をモデルにし制作することにしました。

 

大富豪を構築し直す

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おそらく大多数の人がやったことがあるであろう「大富豪」。デザインの仕方次第では元々の面白みが崩れてしまう可能性もありましたが、今回は5つの修正箇所を独自に考察したので記述していきます。

※このルール改善は、あくまで「大富豪ライクの新しいカードゲームを作る」というところにあって、本来の「大富豪」のルールを根本的に批判したりするものではありません。

 

・ローカルルールの統一

ローカルルールといえば大富豪の華といっても過言ではありません。しかしながらそこに疑問点はありました。

みなさんも経験がありませんか?生まれた地区や都道府県が違った友達と大富豪で対戦した時、

 

「俺の地域じゃそのルール無かったんだけど…」

「階段って次の人はどの数字から出すの?同じ枚数じゃないとダメなの?」

 

等々、喧嘩とはいかなくともルールの理解に差がありゲーム進行に支障がでたりしませんでしたか?僕はありました。

 

そんなことが起こるくらいなら俺がバランス調整してテキストで明記してやんよ!ということで、厳正な審査(笑)のもと 

スぺ3返し・5飛ばし・真7渡し(後述)・8切り・10捨て・11バック・Joker

の7つを特殊札とし、他のローカルルールを排除しました。

 

他にも統一したルールがあり、「柄縛り」「数縛り」という有名なローカルルールがありますが、

ここではゲームバランスを考慮し、名目上は発展的ルールとして「柄縛り」(後述)も基本ルールに含むことにしました。

 

そして後述の「点数制度」での混乱も防ぐ目的で「階段(3・4・5と数字の繋がりで札を出す方法)」も基本ルールでは推奨しない方針にしました。

 

・7渡しの改善

大富豪には7渡し(他多数名称あり)というローカルルールがあります。

代表的なルールとしては、

「7」を出した枚数分自分の手札から札を選んで次の手番の人に押しつける。

というのがあります。

 

要らないクズカードを押し付けられるという点で非常に優れていますが、例えば3カードで7を場に出した場合には3枚の押しつけを含め手札消費6枚となり、手札を0枚にしたら勝ちというルールにおいてチートじみた強さを見せます。しかも隣の人は手札が増えて勝利が遠のくという・・・(絶望)

 

必ずしも貰った側が不利になるとは限りませんが、最初の手札の質で運命が決定しやすい大富豪においてはバランスブレイカーとも言えます。

しかしながらそのルールの内容としては、「ほかのプレイヤーの手札に干渉できる」「場合によっては革命の補助となる」というような可能性を秘めているとも感じ取れます。

そこで僕はこの7渡しを

 

「7」を出した枚数分以下まで自分の手札を選び、次の手番のプレイヤーと交換する

 

という真7渡しとして再構築して、数少ない他人への干渉札としてゲームの膨らみを演出しました。

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実際に作成された「7」

 

点数制度の導入

大富豪をやっている時、何をした状況が一番嬉しいですか?

僕は自分の出した札よりも強い札を相手が出せず、場が流れた時が一番嬉しいと感じていました。

 

手札を0枚にして勝利、というだけではまだまだゲームとしての緊張と弛緩・そして報酬が足りないと感じていました。

そこで「流す」というルールの改善を考案しました。

 

「流す」とは、

自分の出した札よりも強い札を他のプレイヤーが出せなかった時、場は流され最後に出したプレイヤーからまたゲームが再開する。

という基本的なルールです。

 

相手の手札を読み、どれが最も強くどれを相手は出したくないか。大富豪において最も知略巡る攻防を制したプレイヤーには、出したカードに応じて点数を配るというシステムを考えました。

具体的には

3~7・9・10 は通常時2点・革命時1点

11~2 は通常時1点・革命時2点

Joker・8 は常時0点

(複数の札が出されている場合、点数は累積せず1点もしくは2点となり、0点が含まれている場合は0点が優先されます)

 

といった配分で点数を与えました。

低いカードで流すほどより高い点数が得られ出すことで流せることが決定的になりやすい特殊カードは0点というようなバランスをとり、点数効率や手札消費をより考えないと真の勝利にはたどりつけない。そんなルールを構築しました。

 

そしてこのルールが、点数(=お金)というデザインにすることで(「大富豪」という字面だけではありますが)お金を貯めて最も多かったプレイヤーが勝ちという、いかにも「大富豪」な雰囲気作りにも影響することができました。

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ゲーム外カードとして作成した「1点」と「2点」



・ルールの可視化

前述したように、特殊な札にはテキストを挿入することで現代TCGのようなデザインもしていこうと考えました。

しかしそれだけでは「大富豪」においては可視化しきれないルールがあります。

それは「革命」と前述の「柄縛り」です。

 

同じ数字の札を4枚以上同時出すか、11バックを利用することで発生させることのできる数字の強さが逆転した状態である「革命」と、

 

同じ柄の札が2手番連続で出された場合、その場が流れるまで同じ柄しか出せなくなる「柄縛り」

 

これら2つは、デジタルゲームでない限り自動で表示することができません。

このルールは自身の他記事でも述べていた、「場を見て頭で理解する」つまり精神的動作なので、ルールミスを引き起こしやすいルールだと言えます。

 

そこで、手札などのプレイアブルなカードには含まれないサポートカードとして、これらの状態を示す為にあらかじめ場に置いてあるカードを制作することにしました

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例として場の状態を表す「平常」と「革命」の画像で説明しますが、

この2つは裏表で印刷されており、「革命」状態が起こったときひっくり返すことで場の切り替えを表現することができます。「柄縛り」等も同様でひっくり返すと説明文と状況がわかる仕様になっています。

 

このサポートカードの存在によって、精神的動作の補助が可能になると考えられ、ゲームの進行の助けになります。

 

しかしながら

「ゲームを理解すればそういったサポートカードが無くてもスムーズな展開は可能だろう。」

とか

「カードをめくるGM的存在の必要とその人物に軽度の負担を強いるのではないか。」

 

というような危惧はありました。

結論としては、ルールを覚えたならこのカードを使う必要はありません。

しかしながら、ゲームデザイナーという視点から見るとこのサポートカードは必須です。

 

実際にゲームをしたときに起こりうる理解差やミスの発生などを予め予測し、

予防策を用意しているかいないかでは、初心者の入り込みやすさやルールの説明においてプレイヤーが不利を被るになりますしこういった事象を予測できないゲームデザインは正直言って甘いと自分が感じるからです。

 

新しくカードゲームを作るうえでやはり大事なのは、まず手に取って遊んでもらえることだと思うので、容易なルール理解を促したり、誰もが楽しめるゲームをデザインするうえで必要な改善といえるでしょう。

 


・見た目での楽しさ

ここまでルール体系について記述してきましたが、現在一般的なトランプの柄にそれぞれテキストを載せてはいどうぞ。…と渡されてもさすがにつまらないですね。

 

そこで、それぞれの札にTCGのような固有の名前やイラストレーション、フレーバーテキストを与え、雰囲気の構築を図ることにしました。

 

トランプについて調べていくうちに、トランプの絵札にはそれぞれモチーフとされる人物や、それぞれの柄の特徴、象徴的物質や色の系統etc...色々な設定が存在していることがわかりました。

 

そこで既存のトランプでは赤・黒と4つの柄を2つの色で表現しているところを4つの柄に対して4つの色を用意することで視覚的なカードの差異を明確にする処置を施し、

雰囲気の構築のため、それぞれの柄を「国」と見立てイラストレーションしていくことでデザインの指標としました。

イラストレーションに関しては下の上くらいの下手くそでしたが、どうしても自分の手で作り上げたかったので全て自分で書き下ろしました。

 

 

設定を簡単にまとめると、

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・スペード      ・クラブ      ・ハート     ・ダイヤ

色:青        色:緑       色:赤      色:黄色

国柄:貴族(騎士)    国柄:農耕     国柄:宗教    国柄:交易

属性:華麗・戦争   属性:勇敢・勤勉  属性:慈愛・信仰 属性:金満・船

時間:夜(深夜)   時間:夜(夕刻)    時間:日中(昼) 時間:日中(早朝)

 

等々…

 

ゲームの中で国柄や属性などの設定が活用されることはありませんが、色分けによる視覚的理解や見る楽しさを演出できたのではないかなと思いました。

 

という感じで、代表的な改善箇所5つを挙げましたがこれはあくまで土台で、最終的にデザインという形でカードの中に落とし込まなければなりません。なので次はこれらを落とし込む作業について記述します。

 

ユーザーインターフェース

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web説明書より「カードの読み方」の項から抜粋

 

さっきからちょくちょく出てきている完成されたデザインですが(はよ全部見せろや)、これもまた「大富豪」というゲームを行ううえでの視点で考えられデザインされています。

 

・文字、オブジェクトの配置

見ていただいて理解できるとおり、数字・名前・点数が左に寄せられています。このデザインと似たようなものは現在市場に出回っているものの中にもあります。

なぜこうなっているか、なぜ右寄りではないのか、考えたことはありますか?

 

まず考えられる1つの理由として、右利きのためのデザインなのではという点です。

左利きより右利きの人が多いことは明確なので、多数派に合わせたデザインと言えます。勿論例外はありますが、右利きの人がカードの束を閲覧しようとカードをずらす時、右にずらす傾向があります。

右にずらした時最も露出が早い場所は左端なので、そこにメインの情報を置くわけですね。

 

 

そしてこのデザインが「大富豪」に合っているか?という疑問ですが、合っていると考えられます。

 

何故なら、「大富豪」において最も長くカードが目視されるのが「手札にある時」だからです。

 

手札にカードを持っている時、カード全体が見えているわけではありません。扇のような形で、前述した右にずらす方式を取っていたならば露出が最も大きいのは左端です。

その時一番見えてほしい情報は「そのカードの強さ」なのではないかと考えました。

 

そしてその露出している部分を見て、まず「カードの強さ」を確認し「色」を確認する。そういった思考や視認が露出部分でスムーズに理解できるように左端に情報を集めるのはデザインとして正しいと言えます。

 

 

そして、手に隠れやすい左下の「点数」や中央下の「テキスト」は、極論を言えば手札にある時見えなくても良いのです。

なぜなら、それらが最も効力を発揮するのは手を離れ場に出た時だからです。

 

出した時ルールがわからなければ出した後で手に取って読んで確認すればいいですし、点数は流す時に確認すれば事足ります。

もちろん全て把握しておけばより良いプレイができるとも言えますが、必要な情報の順番を決めるうえでこのような配置にしたのは正しい判断だったと思えます。

 

テキストボックスやオブジェクトが少し簡素なデザインとなっていますが、これは模糊としたりごちゃごちゃしたデザインがあまり好みではないので・・・

 

その他細かいデザインについて

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裏面の上下反転した図

 

・裏面

「大富豪」はプレイしているうちに札が上下逆さまになることが多々あります。

これがプレイに大きな影響を与えるかといえばそうではありませんが、やはり片付けや手札整頓の際に理解しやすい方が良いですよね。

 

そこで小さなデザインではありますが、裏面にグラデーションをかけています。

上記の画像を見てもわかるように、反転するとグラデの明暗で上下が確認できるので多少役に立ちます。

 

・同一イラストレーションでの差分

特殊札があるとは前述したとおりですが、柄によってそれら全てのイラストレーションが違っていたらわかりにくいですよね。なので人物ではない特殊効果を持つ札は差分イラストレーションとして同じ絵が使われています。

 

例:8「騎士の斬撃」

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このように差分で表現することで特殊効果の理解を促しています。

クラブの背景が緑ではなく橙なのは、緑だと背景として不自然に見えたので、時間設定の「夕刻」というところから夕焼けの橙という色合いにしました。

 

他には、それぞれの数字同士は、必ず同じモチーフをもって描かれています。例えば「4」なら、その国ごとの土地や建造物「2(デザイン上は15)」なら、その国が繁栄を果たした状況描写といった風になっています。

 

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4の「辺境」シリーズ

 

 

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15の「誉(ほまれ)」シリーズ

 

イラストこそ違いますが、雰囲気を整えることでこれもまた強さの理解を促しています。

 

・数字

先ほど説明したように、このゲームにおいて本来の「2」は「15」と表記されます。

それは単純に

「最も強いカードが「13」より小さい数字ってわかりにくくね?」

という考えから来ています。

同じ理由で「A」が「14」になっています。

このゲームに関して、初心のうちはやはりこちらの方が分かり易いでしょう。

 

 

印刷、そして完成へ

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デザインが仕上がったらあとは印刷するだけです!(2017年3月から制作され、ここまでの工程で8ヶ月費やされました(吐血))

 

カードゲームの名前は「グローリアスクラウン」

勝者の栄光~グローリアスクラウン~を掴んだれや!という感じのネーミングです。

 

カードの印刷は業者に発注する形で行われ、同時に仕舞い込む箱も発注しました。

しかしながら、面白くするためとは言えサポートカードや点数カード等、色々なカードを付けたしてしまったためコンポーネントはかなり多くなり1セット100枚という厚いカードゲームになってしまいました。

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実際のセット。箱とカードと紙説明書とweb説明書リンク

 

と、なんやかんやありましたがオリジナルカードゲームと呼べるものが完成しました!

 

あとは遊ぶだけですが、ルールをこのまま説明していくととんでもなく記事が長くなるのでここで第一部終了ということとします!

 

第二部「1年かけてカードゲームを作った話~遊ぶ編~」

ではルールや遊び方、販売についても記述していこうと思います。

sasaemachan.hatenablog.com

 

 

ここまで長文を読んでいただきありがとうございました!それでは~また次の記事で。

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【オリジナル】「グローリアスクラウン デザインレイアウト集」イラスト/ささっち [pixiv]

カードデザインはpixivで確認することができるので、よければそちらで~