キューブドラフト構築におけるカード選択
おはこんばんにちは、今回もキューブドラフトの構築について、前回の記事
の続きと称してドラフト構築におけるカード選択のイロハについて話していこうかと思います。
この記事はドラフトを構築する段階へ踏み込んだ記事ですので、先に上記の記事を読んでからこちらを読んでいただけると理解しやすいかと思います。
完成されうるデッキタイプの数を考える
キューブを組むとき、あのカードが使えたら楽しそう!と、カード単位から考えてしまいがちになりますが、自分はある程度のカード選択によって作られるであろうデッキタイプの総数から考えるようにしています。
わかりやすく例をあげましょう。
4人用のキューブドラフトがあったとします。
カードプールをおおまかに分類すると
グッドスタッフ・征竜・ヴェルズ
の3種類のデッキが作れそうだ。
グッドスタッフやヴェルズの下級モンスターは比較的いろいろなデッキで活躍できるスペックを持っているので、それらのデッキを目指すプレイヤーが、《ライオウ》や《ヴェルズ・マンドラゴ》等を数枚取りこぼしてしまっても問題ないと考えられます。
しかしながら、征竜を目指そうとしたプレイヤーはどうでしょうか。
《焔征竜-ブラスター》と《巌征竜-レドックス》を序盤に取ることができたのに、他の誰かが同じく征竜を目指していたようで、その他のパーツは全くとれず、中盤からグッドスタッフに寄せたものの中途半端になってしまった...。
といったように、征竜といったある程度のピックの純度を要求するデッキタイプの場合、他のプレイヤーと被ってしまった時デッキとして中途半端になりやすいと考えられます。こういった事故を未然に防ぐために、
- キューブ内で作ることができるデッキタイプを人数分以上用意する。
- どんなデッキにでも混ぜやすい汎用性のあるカードを多めにする。
- あまりにもピックが難しいカード(カテゴリ系、効果起動に複数枚の特定のカードを要求するカード)の採用は控える。
という点に気を付けるのが良いでしょう。
上記の例の場合、まず作られるであろうデッキタイプをあと2~3種類増やすか、征竜よりも他のデッキに馴染みやすいカード群の採用をすべきでしょう。そうすることで、ピックが被ってしまったかな?と思った時にデッキを立て直しやすいのです。
カードパワーを考える
キューブドラフトなら意図的に無理ゲーをなくすことができるとは前回の記事で述べましたが、他にもカード選択によって弱体化するOCGの禁止カードや、大幅に強くなる無制限カードがあったりします。
例その1
《早すぎた埋葬》装備魔法 禁止カード(2016年8月現在)
装備状態の時、バウンスさせることで完全蘇生ができる装備魔法、《氷結界の龍-ブリューナク》や《ハリケーン》で戻せば無限に墓地からモンスターが湧き続けます。現在は同じ蘇生系カードで制限カードである《死者蘇生》や罠カードの《リビングデッドの呼び声》を押しのけて禁止カードとして長らく君臨しています。
勿論このカードを採用するなら、ループが発生したりしないようにバウンス系のカードの採用は慎重にすべきです。
その前提を踏まえて、ドラフトではどうでしょうか。このカードのスペックをまとめるとこうです。
- 800ライフポイントを払わなければならない。
- 装備魔法なので、《パワー・ツール・ドラゴン》や《名工 虎鉄》からサーチできる。
- 発動時に《サイクロン》等に破壊されると蘇生できない。
おおよそこの3つが挙げられると思いますが、とくに3つ目の除去に弱いことが大きいですね。通常魔法である《死者蘇生》ならば、ライフコストが無いうえに相手の墓地からも蘇生でき、一部のカウンター罠以外に対抗する手段が乏しいので、発動したプレイヤーがかなり高い確率でデュエルの風上に立てるでしょう。
しかし、《早すぎた埋葬》は発動時にリスクが伴い、装備モンスターが存在し続ける間は魔法の除去によって盤面を返される可能性も付きまといます。蘇生による展開の補助を狙うか、除去によるカウンター側につくか。つまり、このカードの存在によってバランスの良いメタ関係が作られるのです。
「禁止カードの弱体化」といかにも悪いことのように記述していましたが、禁止カードの弱体化によってよりバランスの取れたカードになったという感じですね。
例その2
下級グレイドル 効果モンスター 無制限カード(2016年8月現在)
いずれかの方法で破壊された時、相手のモンスターに装備されコントロールを奪うモンスター群。稀にサイドカードとして投入されることもあるが、基本的に制限改訂とは疎遠に思われるカード。
このカード群はOCGにおいて無制限カードですが、ドラフトでは無類の強さを発揮します。
- 裏守備でセットされた時、除去が難しい。
- このカード1枚で効果が完結している。
- ドラフトは基本的にモンスターの殴り合いによるライフの取り合いが勝利に繋がるので、コントロール奪取が非常に強い。
といった点が挙げられます。そもそもキューブドラフトで特殊勝利やフルバーンといったデッキを作るのは不可能に近いので、ほぼすべてのデッキがビートダウン系になるということがこのカードの強さを引き上げていると言えます。
無警戒で殴ってきたモンスターはことごとく奪われ、たとえ装備状態のグレイドルが破壊されても相手の場に戻ることすら許しません。この点は禁止カードである《強奪》の方が良心的ではないかとも思えるくらいです。
効果を無効化できるカードはいくつかあるものの、デッキを選ばず1枚で盤面をひっくり返しかねないカードであることは間違いないでしょう。
今回紹介した2つの例はほんの一部です。敢えて、《早すぎた埋葬》と《霞の谷のファルコン》を共存させることで【セルフバウンス】というデッキタイプの道を作ったり、下級グレイドルを採用する中で、《深淵に潜む者》や《ライトロード・モンク エイリン》といったメタを多くすることでバランスを取ったりすることもできます。
こういったバランスの調整はキューブの構築段階では難しいので、実際にキューブドラフトをやってみて、これは強すぎた、これは弱くて使えなかった といったフィードバックをもとに調整していくのが良いでしょう。そっちのほうが机上の空論より断然楽しいですからね
自身の持っているキューブドラフトでも、調整の結果《EM-モンキーボード》は禁止カードで良いという結論が出されたりしました...
コミュ力を考える
コミュ力?ワンチャントップ解決アドアドアド耐え~
ここでいうコミュ力とは、
- どれだけの違うデッキタイプの中でも役割を果たせるか?
- そのカードを取ることで目指せるデッキタイプがいくつあるか?
ということになります。つまり、ほぼ【クリフォート】でしか使えない上の子はドラフトにおいてコミュ力があまりありません。
例その1
《ライトロード・マジシャン ライラ》効果モンスター 星4 光属性 魔法使い族
...素晴らしいコミュ力です。
属性、種族、レベル、効果どれを取っても申し分ありません。このカード1枚で効果が完結しているのは当然として、このカードから目指せそうなデッキがたくさん見えるのも評価される要因の1つです。
墓地肥やしが強さに変わるデッキ→【ライトロード】【カオス】【カオスドラゴン】
レベル4であることが強みになるデッキ→【エクシーズ】系統全般
なによりもバックを破壊する効果が単純に攻撃反応系罠、除去カードに強く、デッキが不明な相手の出方を探る切り込み隊長にうってつけです。魔法使い族であるため、恩恵を受けられる魔法罠の多さもキューブの構築によっては大きくなるでしょう。
例その2
《犬タウルス》効果モンスター 星3 炎属性 獣戦士族
...仲間の良し悪しでコミュ力がかなり変化しそうです。
普段はあまり喋らないけど好きな話題になると喋りまくるオタクっぽいですね
《ペロペロケルペロス》や《炎王神獣ガルドニクス》、《炎王炎環》あたりとは相性は良いですが、このカード1枚では効果が成立できず、このカードからは【ビースト】【炎王】などの選択肢しか作られません。その分、周囲のピックの流れを読んで相性の良いカードを沢山取ることができたのであれば、強力なデッキが作れることは間違いないでしょう。
守備力が200の炎属性なので、《フレムベル・ヘルドッグ》や《真炎の爆発》の恩恵を受けられるのも忘れてはいけませんし、獣戦士族なので《炎舞-テンキ》によるサーチも可能です。
紹介した2枚のモンスターは、前者が「デッキを選ばず採用が検討できるカード」後者が「デッキを選ぶがデッキの核にもなりうるカード」です。
つまり、コミュ力が高いカードは需要が高く人気になりやすいので、ある程度枚数は多めにしておく。その一方で、コミュ力が低くとも一部に需要があるカードならばドラフトに採用を検討しても良いということです。
デッキタイプを増やしていく過程でコミュ力の低いカードはいくつか出てくるのは仕方ないと思います。そのうえで枚数を調整してトライアンドエラーしていくのがキューブ構築の第一歩です。
さいごに
かなり長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただけたあなたは立派なキューブ構築者になれているといっても過言ではないでしょう。しかしながら、構築にはカードそのものの知識量が大きく関わってきます。新段でドラフトに使えそうなカードがあれば効果を読んでみたり、あまり目立たないマイナーなカードをwikiで調べてみるという作業も必要でしょう。これらの作業の量とキューブの完成度は正比例の関係にあります。どんどん調べて楽しいキューブドラフトを作ってみてください!
それでは。